「おぼろ豆腐」についての解説と6月5週の催事のご案内

先日の大阪北部の地震、大丈夫でしたでしょうか。
被害に遭われた方、謹んでお見舞い申し上げます。

 

京都市内でもかなり揺れました。
当店では、幸い、井戸水が少し濁っただけで終わり、通常通り、豆腐を作っています。

↑豆腐を水槽でカットして容器に入れるところ

おぼろ豆腐は“パクリ”なのか?

6月16日(土)にTBS系列で放送された『ジョブチューン』をご覧いただいた方、ありがとうございます!
そのなかで、「おぼろ豆腐は『美味しんぼ 22巻』をパクって作った」と、当店の女将がセンセーショナルな発言をしていました。
これについて、ちょっと長くなりますが、豆腐の歴史を交えて説明します。

[豆腐の歴史1]おぼろ豆腐はいつからあったの?

まず、「おぼろ豆腐(朧豆腐)」そのものは、江戸時代からあるようです。
江戸時代の豆腐レシピのベストセラー『豆腐百珍』には、次のように紹介されています。

 

“朧豆腐
寄せ豆腐の固まらぬものをいう。水を十分入れ、篩斗(ふるい)にかけてから、料理に用う。
また、輪豆腐[=豆腐を山芋と混ぜてちくわの形にし、蒸して焼いた料理(矢田・注)]を湯びいて、葛餡をどろりとかけたもの。葛に透く豆腐が、朧月の如く見えるので名付ける。摺山葵(すりわさび)、芥子(からし)、粉山椒などを上置きにする。“
(新撰豆腐百珍 林 春隆・著/中公文庫)

[豆腐の歴史2]京都ではどんな豆腐が有名だったの?

ならば、「京都では江戸時代からおぼろ豆腐が一般的だったか」というと、おそらく違います。
江戸時代に京都で名物だったのは「祇園豆腐」。
祇園・八坂神社の茶屋で出される豆腐田楽です。つまり、固めの木綿豆腐。
いまでも八坂神社門前で、当時からずっと続いているお店、中村楼さんで頂くことができます。
あとは、南禅寺門前の湯豆腐も名物だったようです。


↑中村楼さんが出されていた「田楽豆腐」

 

ちょっと時代が飛んで、昭和になって有名になるのが「嵯峨豆腐」。
第二次世界大戦の時、ジュラルミンを作るために「にがり」は回収されて使えなくなりました。
そのかわりに、中国での豆腐作りをヒントに「すまし粉(石膏)」で豆腐をつくったのが「嵯峨豆腐」の始まりと記憶しています。
すまし粉で作る豆腐は水分を多く保って固まるので、爽やかな食感になることが特徴です。
このすまし粉で作った爽やかな豆腐が、“京豆腐”のイメージになっていきます。

「パクる」というより「見つけた」

前置きが長くなりましたが、ここからが当店の六代目と女将の話です。

 

六代目は「豆腐作りは水が大切というけれど、それぞれの大豆の違いをもっと味わえる豆腐を作りたい」と考えます。
といっても、まわりで作られている豆腐は水分の多い爽やかな豆腐ばかり。
そこで、大豆選びや豆乳の作り方や固め方など、いろいろ考えます。
豆腐や大豆の本もいろいろ読んだようです。

 

そのなかで『美味しんぼ 22巻』におぼろ豆腐が出ているのを「見つけた」、ということになります。
「パクる」というと、「ちょっとやってみたらすぐにおいしいのができた」ぐらいに聞こえますが、実際は2年ほど試行錯誤を重ねたと聞いています。
でもまぁ、それをバラエティ番組でアピールするのもどうかなってとこですし、インパクト重視でこのような表現になったとご了解ください(笑)


↑当店の「おぼろ豆腐」です

「一番うまい豆腐は、やはり豆腐なんだと。」

それで『美味しんぼ 22巻』の豆腐の話ですが、豆腐屋から見ていいお話です。

 

「究極vs.至高」の料理対決で「豆腐」がテーマになり、「おいしい豆腐料理とは?」が問題になります。
その中で、海原雄山[主人公・山岡士郎の父親で芸術・料理の巨匠]が次のように言います。

 

「……士郎に言っておけ。一番うまい豆腐は、やはり豆腐なんだと。それが答えだ。」

 

これはシビレますね。
おぼろ豆腐は、豆腐を水の中につけない分、大豆の味をそのまま楽しめる豆腐です。
大豆の味をダイレクトに味わえる、という意味で、贅沢な豆腐と言えるかもしれません。

今週は日本橋・泉北で出店します

今週は、東京の日本橋高島屋さんの地下と大阪の泉北高島屋さんで催事に出店します。
豆腐・お揚げのご試食もあります。オンラインショップで気になるお品がある方も、ぜひ試しにお越しくださいませ!

日本橋高島屋での出店の詳細です

◎日本橋高島屋 地下1階 催会場
『夏の京都味めぐり』
6月27日(火) → 7月 3日(火)
[6月28日まで]午前10時30分 → 午後7時30分
[7月3日まで]午前10時30分 → 午後8時

 

詳しい情報は日本橋高島屋のホームページへどうぞ
http://www.takashimaya.co.jp/tokyo/#

 

おすすめ品:京揚げ(大)


↑京都サイズの大判のお揚げ。半分サイズの(小)160円もあります。

 

「関東ではなかなかこの味のお揚げには出会えないの!」とお客様からお声をいただく、当店の「京揚げ(大)」。
鍋料理にも、ほどよい大きさに切って入れるだけ。湯通し・油抜きはいりません。
お揚げに鍋料理のだしがしみ込むばかりでなく、お揚げからもだしが出ます。

 

冷凍庫で保管して、お使いいただくこともできます。
当店の看板商品ですので、この機会にぜひお試しください!
お揚げはこんなふうにして揚げています。

泉北高島屋での出店の詳細です

◎高島屋 泉北店 1階 食料品売場わくわくウィークリー
『京 都 フ ェ ア 』
6月27日(火) → 7月 3日(火)
午前10時 → 午後7時(最終日は午後6時30分閉場)

 

詳しい情報は高島屋泉北店のホームページへどうぞ
http://www.takashimaya.co.jp/senboku/

広告品:青碧(あお)豆腐


↑グリーン色の香ばしい甘みの汲みだし豆腐です

 

岩手県・福井県産「岩手みどり」大豆でつくった、香ばしい甘みのくみだし豆腐です。

 

青大豆の味をお楽しみいただくには、冷やっこがおすすめです!
ただ、キンキンに冷しすぎると味が分かりにくくなるので、
お召し上がりの10分ほど前に冷蔵庫から外へ出しておいてからお召し上がりください。

 

何かかける場合は、お醤油ではなくお塩をひとつまみ振りかけてください。
青碧(あお)豆腐の香ばしい甘さが引き立ちます。

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