にがりの話・最終回と百貨店催事のご案内(11月2週)

先日、野菜を食べに大原へ自転車ででかけたら、ちょっとしたコスモス畑を見つけました。
ちょうどきれいに開いた花に蜂や蝶がとまっていて、しばらく見とれていました。
秋まっただなかですね…。


 ↑蜂はせっせせっせと蜜を集めているご様子でした

にがりの話・最終回

今回もにがりのことをお伝えしようと思います。最終回です。

前回・前々回のブログでは、
・当店の「にがり」はヒマラヤの結晶にがりを使っていること
・大豆そのものの甘みを楽しんでいただくために「にがり」には豆腐を固める役目だけをしてもらっていること
・いわゆる“京豆腐”は「すまし粉」で豆乳を固めていることが多いこと
・「すまし粉」は水を多く抱えながら固まるのでつるっとした豆腐になること
をお伝えしました。

今回はそれ以外の「にがり」についてお伝えします。

「精製」にがりと「粗製」にがり

当店で使っている「にがり」は、物質名では「塩化マグネシウム」になります。
このにがりを「精製にがり」と呼ぶことがあります。
“純度の高いにがり”という意味です。

一方、にがりの表示を注意して見ると、「粗製海水塩化マグネシウム(にがり)」と書いてあるものがあります。
これは海水から塩を取った残りの液体、つまり、「塩化マグネシウムとそれ以外の成分が入った液体」のことです。

海水のミネラル分も入っていていいよね!というところですが、
・ミネラル分の味も豆腐の味に影響すること
・場合によっては塩分が入っており豆腐の味が大きく変わること
この2つの理由から当店では使っていません。
“大豆そのものの甘みを楽しんでいただく”ために、当店のにがりは豆腐を固める役目だけをする「塩化マグネシウム=精製にがり」を使っています。
(どちらのにがりが“良い”“悪い”ではありません。念のために書き添えておきます)

そして、「乳化」にがり

ほかにもうひとつ、「乳化にがり」があります。

にがりは豆乳の中に入れると、豆乳をすぐに固めます。
だからこそ、にがりで豆腐を作るには経験と技術が必要になります。

でも、もっと簡単ににがりで豆腐を作ることができたら…?
ということで登場したのが「乳化にがり」です。
豆腐を固める働きをする「塩化マグネシウム」を油脂(乳化剤)でコーティングすることで、固める速度を遅くした「にがり」です。
「簡単に」豆腐がつくれる「にがり」ですので、大手の豆腐屋さんで使われることが多いです。

当然、油脂の味が豆腐に加わり、味わいに大きく影響します。
ですので、当店では使っていません。
(ここでも念のため申し添えますが、乳化にがりを使うこと自体は“良い”“悪い”ではありません。作り手の考えによるものです。)

ただし、「乳化にがり」を「にがり」と表示することもできます(きちんと表示している場合は、材料欄に油脂が表示されています)。
「海水にない成分が入っているのに、にがり?」と違和感を覚えるところでもあります。

以上で「にがり」の話、終了です!

3回にわたって、当店で使っている「にがり」を中心に、「にがり」の話をお伝えしました。
「すまし粉」は、にがりではなく凝固剤になりますが…。
他の凝固剤なんかもありますが、今回は省略します。
これで、「にがり」の話、終了です!

今週の百貨店催事

今週は横浜と宇都宮で出店します。

横浜では、料理研究家・石原 明子 先生が選んだお店が集まる催事です。
「味のたずね人」として石原先生が選んだ“伝統を感じる味と技”をもつお店が集まります。


 ↑石原 明子先生。「おとりよせの達人」として早くから全国のおいしいものをご紹介されています

宇都宮では、京都の老舗が集合します。
栃木県では、年に一度の出店です。この機会にぜひお立ち寄りください!

ご試食もあります。オンラインショップで気になるお品がある方も、ぜひ実物を試しにいらしてくださいませ!

横浜での出店の詳細です

◎そごう横浜店 8階=催会場
『 石原明子の美味散策フェア 』
 11月 7日(水) → 11月 13日(火)
 午前10時 → 午後8時(最終日は午後5時閉場)

詳しい情報はそごう横浜店のホームページへどうぞ
https://www.sogo-seibu.jp/yokohama/topics/page/event-ishihara-akiko-20181107.html 

広告品:「緑雨(りょくう)豆腐


 ↑宇治の抹茶で墨流し風に模様を入れた絹ごし豆腐です

京都・宇治産の抹茶で墨流し風の紋様を描いた絹ごし豆腐。
抹茶の風味と大豆の甘みの取り合わせをお楽しみください。

このシーズンは湯豆腐がおすすめです。
温めすぎずに、お湯の中でお豆腐が“ゆらゆら”と動いたぐらいが食べごろ。
冷やっこでお召し上がりになるときは、ほんの少し塩を振ると大豆の甘みが引き立ちます!

宇都宮での出店の詳細です

◎東武宇都宮百貨店 5階 イベントプラザ
『 京洛 老舗の会 』
 11月 7日(水) → 11月 13日(火)
 午前10時 → 午後7時(最終日は午後5時閉場)

詳しい情報は東武宇都宮百貨店のホームページへどうぞ
http://www.tobu-u-dept.jp/ 

広告品:「花麩きんかん(もみじ)」


 ↑中にもみじ麩とぎんなんが入ったひとくちがんもです

もみじを彩った生麩とぎんなんを中にしのばせたひと口サイズのがんもどき。
お出汁で炊くほか、電子レンジで温めてぽん酢を少しかけてもお召し上がりいただけます。

*お出汁で「炊く」というと、ご飯を「炊く」みたいに聞こえますが、
“お出汁でコトコト煮る”くらいの意味です。
じっくり温めてお出汁を食材にしみこませる感じで、
おばんざいによくある「〇〇の炊いたん」の「炊いたん(=炊いたもの)」がコレです。

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