東北の大豆のはなし(岩手みどり)

こんにちは。賀茂とうふ 近喜の矢田です。

3月11日を迎えて、改めて、東日本大震災で亡くなられた方のご冥福をお祈りしますとともに、被災された方へお見舞いを申し上げます。

穏やかな日常へ向けた歩みが、少しでも早く進むことを祈っています。

当店では東北の大豆も使っています

前に、当店で使っている大豆について書いたように、賀茂とうふ 近喜では、北の方で獲れる糖分の多い大豆を使っています。
とりわけ「岩手みどり」大豆や「ミヤギシロメ」大豆などの岩手県や宮城県の大豆は、とても濃厚な味なので、ずっと使い続けています。

今回は、5年前の震災のことを思いながら、この「岩手みどり」大豆や「ミヤギシロメ」大豆について、書いてみました。

「岩手みどり」大豆です

まずは、「岩手みどり」大豆。当店では岩手県と福井県のものを使っています。

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きれいなグリーン色をしています。
よく似た豆に枝豆が思い浮かびますが、枝豆とは全く別モノです。

青大豆は育ちきっても青色です

岩手みどり大豆のようなグリーン色の大豆をまとめて「青大豆」と呼んでいます。
「グリーン色なのに青大豆?」という感じですが、信号の緑のランプを青信号と呼んでいるのと同じ感じかと思います。

この青大豆と枝豆の違いを説明すると、
枝豆はまだ熟し切っていない大豆を指し、一方、青大豆は熟し切っているけれどもグリーン色のままの大豆を指します。

大豆の収穫は、だいたい10月から11月にかけて行われ、青大豆の収穫も秋に行われます。「岩手みどり」大豆もそうです。

一方、枝豆は“熟し切っていない”大豆なので、大豆の収穫をする秋より手前の夏が“旬”です。

ですので、夏にビールを飲みながら枝豆の塩ゆでをつまむのは、“旬”を楽しんでいる、ということになります。

味は濃いけれど、脂肪分は少ないです

もうひとつ、青大豆は、実は脂肪分は他の大豆より少なめです。

農林水産省さんの大豆ホームページに国産大豆品種事典というところがあります

(http://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/daizu/d_ziten/)

この事典に出ていて、当店で今使っている大豆の脂肪分だけを抜き書きしてみます。(「岩手みどり」大豆は載っていなかったので、同じ青大豆のあきたみどりの数字にしました)

●脂肪含有率

青大豆(あきたみどり) 14.3%

白大豆(音更大袖振) 19.6%

白大豆(ミヤギシロメ) 19.7%

白大豆(とよみずき) 19.7%

黒大豆(丹波黒) 18.7%

※白大豆というのは、皮が黄色の、普通の大豆のことです

青大豆の脂肪分が少ないことがお分かりいただけると思います。
先ほど比べた枝豆よりは脂肪分が多いようです(枝豆 約5%)。

というわけで、青大豆はきな粉やずんだ餅にも使われる、味の濃い大豆ですが、脂肪分が少ないのが特徴です。

当店では、青大豆の品種でいくつか豆腐作りを試し、「岩手みどり」大豆を使い続けています。

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このあいだ食べたうぐいす餅のきな粉にも青大豆が使われていました。

少し長くなってきましたので、「ミヤギシロメ」大豆については、改めて書いてみます。

東日本大震災の時…

ここからは、わたくしごとなので読み飛ばしていただいて結構です。

東日本大震災が起こった時も、当店の二階の事務所で仕事をしていました。

ちょっと揺れを感じた時、風邪を引いてちょっと熱っぽい日だったので「あれ、震えかな?」とはじめは思ったのですが、

インターネットの地震情報が次々に更新され、テレビで状況を確認しようとしたら津波の映像が大写しになり、と、とんでもないことになっているのを見て、風邪のことなんてすっかり忘れてしまいました(一週間後くらいに熱を出しましたが…)。

夜になって気仙沼の様子が報道されるようになりました。真っ暗ななか、そこかしこに火の手が見えます。

岩手みどりとミヤギシロメをお願いしている種苗会社さん(作物のたね屋さんです)に連れられて、大豆の畑の見せていただきに伺った場所だったので、とても心配になりました。

あれから5年、その後も東北の大豆にずっとお世話になっています。

昨年から、週に一回ずつですが、仙台の藤崎百貨店さんにもお品をお届けするようになりました。

これからも「大豆」と「豆腐」とのやりとりで、お付き合いを続けていければと思っています。

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