秋になって空気が澄んできたからでしょうか、昼間に鴨川へ出ると、遠くまで見渡せます。
空もすっかり高くなって、気持ちがいいです。
その分、朝晩がちょっと肌寒くなってきました。
風邪など引かれたりしませんよう、お気をつけ下さい。
にがりの話・その2
前回のブログでは、
・当店の「にがり」はヒマラヤの結晶にがりを使っていること
・大豆そのものの甘みを楽しんでいただくために「にがり」には豆腐を固める役目だけをしてもらっていること
をお伝えしました。
今回は「にがり」とは違う凝固剤のお話です。
京豆腐の定番は「すまし粉」
豆乳を固めて豆腐にする材料は「凝固剤」と表示されます。
これはにがりだけではありません。
京都の豆腐によく使われている凝固剤に「すまし粉」があります。
物質名だと「硫酸カルシウム」で「え、硫酸?こわい」という感じですが、通称だと「石こう」です。
彫刻に使ったり、歯医者さんで歯の詰め物に使ったりする白いアレです。
この「硫酸カルシウム(石こう)」も海水の中に含まれる成分で、豆乳を固める働きをします。
いわゆる「京豆腐」には「すまし粉」で固めたものも多いです。
これにはちょっとした歴史があります。
「にがり」の代わりに使われた「すまし粉」
話は第二次世界大戦のころになります。
豆腐屋が使っていた「にがり」は、国に回収されてしまいました。
兵器の材料になるジュラルミンを作るためです。
そんななか、嵯峨野の「森嘉(もりか)」さんが、中国での豆腐作りをヒントに、石こうをにがりの代わりに使い始めます。
ここからにがりではなく、石こうで豆乳を固める豆腐作りが京都に広がり、“嵯峨豆腐”“京豆腐”と呼ばれるようになります。
豆腐屋は豆腐を固めるのに使う石こうを「すまし粉」と呼んでいます。
粉末のにがりを水に溶かすと白く濁るのですが、石こうは水に溶かしても澄んで透明だから、とよく説明されます。
「すまし粉」で固めた豆腐はつるっとしています
「すまし粉」で豆乳を固めると、水分を多くかかえこみながら固まります。
そのため、できあがる豆腐は柔らかくてつるっとした食感になり、豆腐の味も柔らかな味になります。
「京都は水が良いから豆腐もおいしい」と言われることがあります。
それは、いわゆる「京豆腐」が「すまし粉」で固めた豆腐だから、と言えると思います。
当店でも、京都のお店のみでの販売になりますが、すまし粉の「もめん豆腐」「きぬ豆腐」「焼き豆腐」を作っています。
今週の百貨店催事
今週は日本橋高島屋で出店します。
今回は全国のお店が集まる「味百選」の催しです。
日本橋髙島屋では先月に新館もオープンし、“日本橋”の街そのものがにぎわっているところです。
見物ついでに、催事場へもぜひお越しください。
ご試食もあります。オンラインショップで気になるお品がある方も、ぜひ実物を試しにいらしてくださいませ!
東京・日本橋での出店の詳細です
◎高島屋 日本橋店 8階 催会場
『 新館オープン記念 第39回 グルメのための味百選 』
10月31日(水) → 11月 6日(火)
午前10時30分 → 午後7時30分(最終日は午後6時閉場)
詳しい情報は日本橋高島屋のホームページへどうぞ
https://www.takashimaya.co.jp/nihombashi/departmentstore/ajihyaku/index.html
広告品:「花麩きんかん(もみじ)」
もみじを彩った生麩とぎんなんを中にしのばせたひと口サイズのがんもどき。
お出汁で炊くほか、電子レンジで温めてぽん酢を少しかけてもお召し上がりいただけます。
*お出汁で「炊く」というと、ご飯を「炊く」みたいに聞こえますが、
“お出汁でコトコト煮る”くらいの意味です。
じっくり温めてお出汁を食材にしみこませる感じで、
おばんざいによくある「〇〇の炊いたん」の「炊いたん(=炊いたもの)」がコレです。